コンプライアンスを重視して会社を潰した社長の話
さて、前回の記事でお話した現地法人社長についてです。
彼は日本から出向してきた50代男性の現地法人社長です。
ベトナム現地法人である工場はホーチミン市から車で1時間のところにありました。(過去形)
日本の親会社で受注しベトナム工場で生産していました。
家族とも仲がやく本当にいい人でした。私がこの事件を知ったのは彼の帰国が決まってからでした。
コンプライアンスを守る!!!
合言葉のようにどこの会社でも使われるようになりました。
・法令順守さえしていば間違いない。
・法令順守しているのだから、何かあっても私の責任ではない。
・本社には説明責任を果たしてる。
と聞こえてくるのは私だけでしょうか。
彼はベトナム人管理部長の指示通りに現金を工場の金庫に保管しました。
ベトナム人管理部長
「ベトナムでは急な支出に備えるために現金を準備する必要があります。社長!」
こう言われた彼は働きバチのように現金を少しづつ金庫に貯めるようになりました。
彼はもちろん、コンプライアンスを遵守しベトナム人管理部長の指示内容を本社にも報告していました。本社も仕方なく了解したそうです。
ついに、現金1億円を金庫に貯めることができました。
それから間もなく、ベトナム人管理部長は現金を持って消えました。
現金1億円が消えたことで資金繰りが苦しくなり、仕舞には日本親会社も倒産。
実に呆気なかったです。
これは極端な例に過ぎません。
しかし、多かれ少なかれベトナム人管理者が言っているとの根拠だけで大きな決断をしている社長は少なくありません。
・同じ工業団地にある大手上場企業と足並み揃えれば、親会社にも説明ができる。
⇒ 結局、新法の会社が間違っていることが後に判明。
・税関監査に入られた。罰金5千万円を提示されたが、200万円を賄賂で帳消しにできる
とチーフアカウンタントのアドバイスで支払った。
⇒ 結局、当局は納得せず2千万円の罰金を支払った。
現地法人を管理するのは本当に悩ましいものです。
あと、もう少し自分たちの力で戦っていれば、事態は好転していたかもしれません。
つづく